歯車を作ろう。1
■開発経緯とか効果とか将来の夢とか

そうだ。歯車作ろう。
cncフライスを使えば割と簡単に自作歯車が製作できます。
自作歯車を使うことでロボットの設計に最適な歯車を使用することができるようになります。
このことは構造の簡略化、部品点数の削減、スペースの省略、追加工の省略、コスト削減etcetc…
ととても魅力満載な事ばかりです。
デメリットは壊れたら作り直さなければならない、市販品で代用できない、製作がメドイ、材質がジュラルミン程度。
市販品と自作品で有用性の高い方を選択して設計する必要があります。
とりあえずPOM製多段ギアの設計から切削までをだらだら書いてみます。
▼モジュール2とモジュール1の多段歯車
■用意する物

10tのジュラコン板
cncフライス
CUT2D
刃径3mm刃長10mm以上のエンドミル
刃径2mm刃長6mm以上のエンドミル
刃径1mm刃長4mm以上のエンドミル
歯車のデータ

今回作成する歯車はモジュール2,歯数8、厚さ6mmと
モジュール1、歯数36、4mmを組み合わせた多段歯車です。

始めにモジュール2の歯車を設計します。
原型になるDXFファイルを KHKのソフトを使って出力します。
http://www.khkgears.co.jp/gear_technology/gcswforweb.html
平歯車の設計

→図中赤い四角で囲んだ部分にモジュールと歯数を入力します。
次に赤丸の「歯形計算」をクリックします。

→図中赤い四角で囲んだ部分をクリックしてdxfファイルをダウンロードします。

ダウンロードしたDXFファイルをCADで開きました。
歯の一部分だけが書かれているのでこれを回転しながら複製して歯車にします。

白い線をコピーして横線に対して線対象になるように赤い線を配置しました。
歯車の谷一つ分ができました。
このセットを円の中心を真ん中に45°ずつ回転させながら7つ複製コピーすると
歯数8の歯車ができあがります。

複製コピーしました。
複製コピーはどのCADソフトでもある機能なのですがよく分からない
という場合には元の図形を45°回転させながら端点を繋いで歯車にして下さい。

上と同様の方法でモジュール1、歯数36の歯車も描きました。

ドッキングさせてボス穴を描きました。
赤の歯車がモジュール2で
白の歯車がモジュール1です。

切削するために必要な円を青色で描きました。
水色の線でできたドーナツ状の部分はポケット加工で6mm削りおとす部分です。
ポケット加工は時間がかかるので3mmのエンドミルを使用します。
また今回製作する歯車はボス穴が10mmなので
刃長12mmある3mmのエンドミルが必要です。
ボス穴は直径3mm程度の下穴を適当に空けておいて
後ほどボール盤とハンドリーマーでボス穴を追加工するという手段もあるので、
無理に3mmのエンドミルを用意する必要はありませんけど。

設計ができたのでdxf形式で出力します。

CUT2Dで出力したdxfファイルを読み込みました。
material sizeは10mmを指定します。

3mmエンドミル使用:
3mmのエンドミルでボス穴を加工しました。
貫通しています

3mmエンドミル使用:
不要な部分をポケット加工で6mm削りました。
ポケット加工はやたら時間がかかるので safe_z_pointの使用をお勧めします。

3mmエンドミル使用:
モジュール2の歯車部分を荒削りします。
いきなり2mmのエンドミルで歯を削ると切り残しが発生してしまうからです。
ポケット加工の段階で歯車の形状を削り出せばいいのですが
複雑な形状のポケット加工は無駄に時間がかかるので遠慮したいのです。
・・・残念ながら少し切り残しが発生してしまいました。
後ほどカッターで切り落とします。

ここで3mmのエンドミルは出番終了です。
3mmのエンドミルで作成したProfileをまとめて出力します。

2mmエンドミル使用:
ここから2mmのエンドミルに交換します。
始めにモジュール2の歯車の仕上げを行います。

2mmエンドミル使用:
次にモジュール1の歯車の荒削りをします。
モジュール1の歯車の歯厚は4mmですが0.2mm残して切削します。
4mm全て切削して完全に切り抜いてしまうと、1mmのエンドミルを使った仕上げ加工時に
動いてしまうかも知れないからです。
かといって初めから1mmのエンドミルを使用して切削するとエンドミルが
折れてしまうことがあります。
刃長ぎりぎりまで彫り込むので切り子の排泄ができずに目詰まりを起こしてしまうからです。
なので始めに2mmのエンドミルで荒削りする必要があるのです。

ここで2mmのエンドミルは出番終了です。
2mmのエンドミルで作成したProfileをまとめて出力します。

1mmエンドミル使用:
1mmのエンドミルに交換して仕上げをします。
モジュール1の歯車を4mmの深さまで削ります。

ここで1mmのエンドミルは出番終了です。
1mmのエンドミルで作成したProfileをまとめて出力します。

コレで加工終了です。
1mmのエンドミルは簡単に折れるので用が終わったらすぐ片づけましょう
手がぶつかっても折れることがあります。根性無しです

いらない部分を削除するとこんな感じです。
削り残ってしまった部分をカッターで切り落としてバリ取りして完成です。


このような多段ギアを組み合わせることで省スペース、高減速、高強度
なギアBOXを設計することができます。
かわロボのアームに使うにはジュラルミン程度の強度があれば十分なようです。
市販の歯車を組み合わせて減速機構を作ると重量が増え
イモネジの弛みなどの問題が発生しますが
歯車自体を自作することで市販の重たい金属製ギアの軽量化から解放されます。
ボス穴をDカットにすればイモネジを使って軸に固定するメドイ手間が軽減でき、
本番でモーターだけ元気に回ってピクリともしない状況におさらばだよ。
1コ80gの黒初めギアを穴だらけにして使うとかアホらしくなるよ。



問題は分厚いジュラルミン板から多段ギアを作るとコストが馬鹿にならないッてこと。
この問題を解決した貧乏人の多段ギア作成方法はまた別のおはなし。

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